
見えるものに依存する企業や社会
先日、鎌倉投信株式会社の取締役新井和宏氏の講演を拝聴する機会があり、「見える資産」「見えざる資産」という言葉を耳にしました。「資産」というと、現金、売掛金、受取手形、商品、製品、建物、機会、土地といったものを想像します。日々会社の経営では、特に通貨のことを考えないことはないくらい、実に通貨に依存しています。私も特に耳にするのが「費用対効果」というものです。この費用にたいするどのくらいの効果があるのか、数字で示しなさい。数字にできないことは効果とは認められないと言われてきました。
私たちは数字だけで信用まで買えるのか。
お金は手段でしかない。そうあればいいもの。いらお金をもっていてもその会社の信用があるわけではない。最近様々な企業を訪問すると少人数でもいきいきしている企業、知らない人でも誰もが笑顔で迎えてくれる企業様がたくさんあることに気が付く。入口に入る前から扉が開いた瞬間にその雰囲気は伝わる。古い、新しいに関係ない、この企業なら仕事をしてみたい。そんな気持ちさえも動かす力です。
見えざる資産
実は、この会社の雰囲気は何も取引先やお客様だけではありません。新しく働きたいなと思う動機のトップ1に入ります。私たちは時に優先順位を間違えてしまいます。それはわかりやすさに由来します。例えば、お金や利益や経済は数字で出てわかりやすいですね。わかりやすいからそれをつかって物事を考えます。これはお金に依存している状態だと新井氏は語ってくださいました。
その反面、いままで数字になりにくかったもの、それは、幸せ(雰囲気や人間関係もはいります)、理念、人権は数字として表しにくく人によって捉え方や感じ方がちがったものです。
でも、働くならどちらがいいでしょうか。幸せを感じられて、理念があり、人を大切にする企業。そちらの方が働きたいと感じられるのは私だけではないと思います。
これからを背負う若い世代や世界の投資家は何をみているのか。
今から企業は二極化をおこすということです。
残るとすれば
・イノベーションをおこす
・価格でたたかう
そのどちらかで際だてない、中途半端なところはどんどんなくなってしまいます。
価格競争では企業は疲弊してしまいます。安いものを大量につくらなければ企業はなりたたなくなってしまいます。それよりも自社の強みをがっちりもつことと、それを支える社員やその企業を応援するファンをつくることなのです。
若者が企業の情報を見る観点が随分変わってきたことは、皆様も感じていらっしゃるのではないでしょうか。それは若者だけではありません。世界の投資家の皆様は、小さくてもこの見えざる資産を大切にする企業がこれから経済を支えていくと思っていらっしゃいます。会社の雰囲気(人間関係)がよい・理念・社員の幸せ・地域住民や障害者に対してその方にあった働き方を社員全員で考えられる企業です。
法政大学大学院の坂本教授のお話し
私の尊敬する坂本先生の「日本でいちばん大切にしたい会社」シリーズはテレビでも何回も紹介され、非常に有名となておりますが、坂本先生がお話しされる企業が経営をすすめていく上でとりわけ大切にしたい5人の話です。
1.社員と家族
2・仕入れ先や協力工場等で働く社外社員とその家族
3.現在の顧客と未来顧客
4.地域住民・とりわけ障碍者や高齢者などの社会的弱者
5・株主・出資者・支援者
経営者が大事にしなければならないのは。「社員と家族」と「仕入れ先や協力工場棟で働く社外社員とその家族」
社員が大切にしないといけないのは「現在の顧客と未来顧客」であり、さらにいえばその幸せづくりのための全体的に大切にしないとならないのは「地域住民、とりわけ障がい者や高齢者などの社会的弱者」です(参考文献:日本でいちばんたいせつにしたい会社 坂本光司)
これからAIの登場で今まで見えざる資産いわれていたものが、数字化できるようになります。
名前もしれていないが、人知れず頑張っている見えざる資産はもう数字化することができる時代になりました。弊社でも社員の幸福度を図るためのものがございます。頑張っている企業を応援し、ファンをふやし、働く人が増えるようにすることに力を注ぎます。