創業までの物語Ⅲ 帰国後の働き方②

地域資源と学校教育

東京を後に

中小企業の仕事にわくわく感がとまらない日々を過ごしていました。
このわくわく感を記録に残そうとすると、効率的に時間を作ること、協力者を見つけること、パソコン(当時は家に1台しかない時代)でより情報を蓄積できるようにスキルが必要になり、自分から行動して環境を整えていきました。

しかし、そろそろ夫の転勤があるころ上の子の進学のことも気になりましたが、考えても仕方がない。新しい土地でも自分の社会的役割をみつければいいだけ。そして東京を離れることに。

条件つきで指名される働き方

東京から山口県に転勤。そこでも私は自分の社会的役割を常に意識することにしていました。
中小企業の面白さも忘れられなかったので、いつかその時の経験を別の何かに転用できないかと思っていました。そんな中、「とっても困っているんだってよ」というママ友の話を耳にした後、そのまま教育委員会の扉の前にいました。もちろん履歴書も職務経歴書ももたず。
「小学校の教員免許を持っている人が訪ねてきた!」「今すぐ学校に行って校長に会っていただけますか?」

異例の赴任

「学級担任の補佐が足りないみたい」そんなママ友の話を聞いて教育委員会を訪ねたのですが、
たまたま病休で代替の教員がいない、しかも特別支援学級なので誰でもいいわけではない。そんな状況にあったようです。
簡単な今までの職歴など面接があったのですが、応募書類も教員免許状も持たずに話を聞きに行ったのですが、「必要書類は赴任してからでも大丈夫。今、大変な状況に陥っているクラスにぜひ担任として赴任してください。」そして学校名を聞いて愕然としました。それは私の子どもが通っている小学校だったのです。

その夜、単身でドイツに出張に行っている夫に国際電話で報告。
「明日から○○小学校の特別支援学級の担任として赴任することになったよ。」

勉強不足を痛感

赴任初日、校長室から職員室に入室して紹介された時、自分の子どもの担任の先生の驚いた顔は今でも忘れなれないワンシーンです。知的障害のある子ども3名の担任として教科+自立活動+交流学級との学びが始まりました。私が子どものころ遊んでくれたお兄さんやお姉さんは中学生だったので、発達もまた違います。教科書の内容も勉強しつつ、その子が自立して生活していくための学びは非常に大切です。まさに生きていく力をつける学習です。

お金の使い方や、電車やバスの利用の仕方、挨拶や身の回りのこと(基本的生活習慣のトレーニング)、料理をすること、そして何より私が学びとして素晴らしいと思っていたことは、畑で農作物を育て、手入れをし、それを調理して先生方に食べていただくこと、学校内で商いを先生たちにお客様になってもらい価格設定や、商品のディスプレイも行っていました。

農作物を育てることは、自然を相手にするということにもなります。
「人間の力ではどうすることもできないこともある」でもそれを受け入れる力、
次に挑戦する力、自然への感謝の力、レジリエンスを育てるためにはとても効果のある学びです。

どのように彼らの人生を設計するのか、家族との連絡も密にとり、交流学級の担任や子どもたちがその子にどう関わるかで、彼らだけでなく交流学級の子どもたちのインクルーシブ教育につながります。

小さいころには、理不尽だけを感じていた自分でしたが、特別支援学級の担任として教育の視点から考えることができました。勉強不足も当然ありましたが、インクルーシブ教育はこれからは社会の中にも必要なことだということを確信する教員のスタートでした。

地域資源を教育の現場へ

教科の勉強の中には、たくさんの「遊び」の要素がたくさんあります。例えば算数の足し算の勉強でも、ただ式を覚えて数を増やすだけではなく、5+2=7これを様々な日常生活のものに落とし込む。人だったりモノだったり、そうすれば集団や固まりのデザイン、重量感までもがイメージできる「遊び」。机に座ってただ計算をするだけでなく、体を動かしてもいい。リズムをとりながら5+2を身体で感じてもいい。友だちと5+2で何ができるのか考えてもいい。そうすると学びの幅が広がるとともに実体験として足し算が楽しい学びに変化する。

私は、東京で経験したことを学校の現場で変容させて使ってみようと思い始めました。
中学校との協働授業、アメリカのNPOとの関わり、地域の働き手との協働作業そして、洞爺湖サミットへの提言につながります。しかし、これができたのは、勤務校の先生方の温かい見守りやトップ同士がチャレンジを応援する環境をつくってくれたからです。

 

 

ABOUTこの記事をかいた人

白石裕子

育った環境や性別や学歴に関係なく、誰もが社会参加できるような社会を創りあげたいと思い起業しました。国・行政・民間といった様々な機関でキャリアアップをしてきました。特に国内外の教育現場、社会教育現場での経験が11年と長く、不祥事や崩壊といった問題を抱えた現場の立て直し屋と呼ばれてきました。一番の強みは人材開発プログラムの作成です。現在は、職場の定着の大きな課題となる人間関係改善・人材開発プログラムを使って、企業の社員と大学教員などの資質向上研修をおこなっております。 今までに携わった企業や団体や学校はのべ466件、受講者は10,297名を超えました。また、小学校から大学までキャリア教育の授業(社会人基礎力)の実施ものべ29校。個別の若者に対するキャリアコンサルティングも月に一度公共施設にて行っております。 ・キャリア教育授業 北九州市立小・中学校(23校)、福岡県遠賀町立中学校(1校)、福岡県春日市立小学校(1校)、福岡県立高等学校(2校)北九州市立大学、北九州工業高等専門学校 ・企業及び団体研修 北九州市市役所、北九州市教育委員会、北九州市関連外郭団体、厚生労働省雇用支援機構、北九州市社会福祉協議会、北九州市内企業、福岡市企業、私立高等学校看護教諭会,経営者団体の勉強会 ・福岡県男女共同参画企業派遣講師 ・公益財団法人産業学術推進機構中小企業支援センター専門家 <資格> 国家資格 キャリアコンサルタント 認定キャリア教育コーディネーター 小学校教諭二種普通免許 幼稚園教諭二種普通免許 GCDF-Japanキャリアカウンセラー アンガーマネジメントコンサルタント™ アンガーマネジメントファシリテーター™ アンガーマネジメントキッズインストラクター™ アンガーマネジメント叱り方インストラクター™ アンガーマネジメントティーンインストラクタートレーナー™