やる気には質がある⁈

やる気の質を決める職場環境

一口に「やる気」と言っても、それには”質がある”ことをご存知でしょうか。

前回は、やる気は環境に支配されると書きましたが、やる気の質も、やはり環境に影響します。
つまり職場環境によって、そこで働く人たちのやる気の質が決まるという訳です。

当然ながら、良質なやる気を促進する職場環境にすることが望ましいということで、今回は職場環境を、①物理的環境、②衛生的環境、③人間環境に分けて考えることにします。

①物理的環境とやる気の質

突然ですが、はさみが欲しい時に、すぐに見つからなくてイライラした。なんてこと、ありませんか?
爪切りや耳かきなどもそうですよね。
人は、何かをしようとした時に、必要な道具が無いと、そのやる気は徐々に低下します。

職場においては、必要な時に必要な道具が直ぐに手に出来るというのは、小さなことかもしれませんが、実は大変重要なことなのです。
良い仕事をさせたいなら、十分な道具を与えよと、あのドラッカーも言っています。

例えば、製造業の現場では、道具の配置・数量・性能はもちろん、その手入れや整備は、生産性に直結する重要事項です。さらに、作業服や安全靴、手袋といった衣類も、作業に適したものが充実していなければなりません。
オフィスワークなら、パソコンやプリンターなどのOA機器や文房具などがそれに当たります。(ちなみに、Wi-Fi環境も物理的環境です)
また、物や資材の配置や収納も、効率の良い動きを導く上では大変重要な要素です。

つまり、やる気の出る物理的環境とは、仕事が効率的にしやすいように考えられた動線が確保されていて、必要かつ良質な道具が充実している環境を指します。
もう随分前から多くの企業で取り組まれている5S活動の、整理・整頓、そして躾の一部がそれに当たります。
当然ながら、道具や設備の充実度と、その扱いの丁寧さが、やる気の質に直結するという訳です。

②衛生的環境とやる気の質

近年、香りとメンタルの関係が明らかになるに連れ、いわゆる香りビジネスと称される分野が定着しました。どの家庭でも、香り関連商品が必ず存在しています。
香りだけでなく、照明や日当たり、気温や湿度、さらには色の使い方や清潔感も、人が暮らす環境に欠かせないのが衛生的要素です。いわゆる空間デザインとも言えます。

当然ながら職場でも同じですが、やる気の出る衛生環境となると、少し工夫と配慮が必要です。
それは、共有スペースの環境作りには、女性脳を優先した方が良いということです。
女性でなければならないという訳ではありませんが、特に衛生環境の改善は、いわゆる男性脳では難しいと云われています。
何故かというと、男性は臭いや肌感覚が女性に比べて鈍感だからです。しかも環境に慣れやすいのも男性脳の特徴と云われ、劣悪な環境下でも無意識に慣れてゆくため、環境改善の必要性すら感じないのです。(その昔、男は狩りに出ていたからだという説もあります)

職場の衛生的環境をより快適にするには、女性脳ならではの季節感を取り入れた美的センスも必要です。
可能であれば、音楽を活用するという手もあります。
つまり、快適な職場環境にするには、まず女性がイキイキと働けるような空間を作ることが大切です。
女性がやる気をだせる環境にすれば、自ずと男性も活気づくという訳です。
男性しかいない職場なら、社員の奥様に協力してもらったり、社員の中でも女性的な感性を持った方に任せるという手もあります。

他にも、衛生的環境が重要なのが、社員の健康問題です。
当然ながら、人の健康こそ環境が支配しています。
インフルエンザなどの予防措置だけでなく、職場の衛生管理はメンタル面にも大きく影響しやすいということを理解しておく必要があります。

ちなみに、衛生的環境は5S活動のすべての要素が含まれ、さらに共有スペースは皆が使うので、ルールを明確化、見える化する必要もあります。

③人間環境とやる気の質

ここでは結論から言います。
それは、「人は、自分で選んだことには、やる気を出す」ということです。

どんな職場(会社)にも、扱うものやこと、または顧客をはじめとするステークホルダーに応じた行動パターン(作法)や、業界用語に代表される共通言語や話し方、呼び方があります。
したがって、皆と同じようする事が要求されます。

しかし、「やらされている感」が丸出しでは、やる気どころではありません。
人は、「やらされている」と感じている間は、いくらおだてても、叱っても、やる気は出ません。
それなりにこなすだけです。単なる動作をしているに過ぎないので、周囲はイライラします。
つまり、仕事が他人事になっているからです。

では、どうすれば、仕事が自分事になるのでしょうか?

その一つが、自分で選ばせるという方法です。
選ばせると言っても、全ての仕事を無制限にとう意味ではありません。
当然ながら、工夫と配慮が必要です。

それは、可能な限り現場に選択権を与えるというやり方です。(決定権や決裁権ではありません)
何かを進めようとする場合には、リーダーやその側近だけですべてを決めてしまうというケースがよくありますが、大抵は途中で破綻します。
それは、ついて行く社員との意識の格差が生じるからです。
しかし、選択する機会を社員に提供できたら、「指示された事」から「皆で決めた事」となり、意識の格差は飛躍的に縮まります。
この、「皆で決めた事」が実は自分事の原点になります。

つまり、人は環境に適用しようとするので、皆で決めた事なら守ろうという思いを抱きやすくなるのです。
結果的に皆と同じようにする事が、自主性を持った行動に変わり、自分事になるという訳です。

組織の力は、トップの引く力と、ボトムの押す力の両方が親和した時に最大化します。
当然ながら、ボトムの押す力は、やる気の質に比例します。
仕事を自分事にすることが、良質なやる気につながります。

 

次回は、やる気の方向性「前向き」の正体について考えます。

ABOUTこの記事をかいた人

yasuhiro kouno

キャリアコンサルタントの高野です。 「競争社会から共創社会へ」という目標に向かって、人を仕事に合わるのではなく、人に合わせた仕事の創出のお手伝いをしています。