ストレスは悪いもの?

ストレスは健康に悪いと思っている人が多いのではないでしょうか。
ところが、本書によると、ストレスは人を成長させ、健康で幸せにするという例もあるということです。

しかも、「ストレスは健康に悪い」と思いこんだ場合に限って、ストレスは有害になる。ストレスについての考え方を変えれば、もっと健康で幸せになれる。
そして、ストレスについての考え方や、ストレスとの付き合い方は、自分で変えることができる。
なに、なに、どう思っているかだけで変わってくる? しかも、自分で変えられる? そんなことがあるの? と思ってしまいますね。

ストレス源によって引き起こされるストレス反応は、1種類ではなく、いくつもあるそうです。
1つ目は、「闘争・逃走反応」。交感神経が活性化し、エネルギーを結集させます。呼吸が深くなり、心拍数が上昇し、アドレナリンやコルチゾールなどのストレスホルモンが出て、筋肉と脳がエネルギーを効率よく摂り込み、利用できるようにします。「火事場の馬鹿力」のような生きるか死ぬかという時の反応です。注意力を高め、意識を集中させ、やる気がでます。
2つ目は、「チャレンジ反応」。心拍数は上昇し、アドレナリンが急増し、筋肉と脳にはエネルギーがどんどん送り込まれ、気分を高揚させ、集中力が高まります。しかし、「闘争・逃走反応」とはことなり、恐怖は感じません。DHEAというストレスから回復したり学んだりする助けになるストレスホルモンの割合が高くなります。トップアスリートが試合に没頭しているときのような「フロー」と呼ばれる状態です。自信が強まり、集中力が高まり、最高のパフォーマンスを発揮することができます。
3つ目は、「思いやり・絆反応」。オキシトシンというホルモンが分泌され、人とのつながりを求める気持ちが強くなります。周りの人の考えていることや感情に気づき、理解する力が強まり、信頼が深まり、相手の役に立ちたいという思いが強まります。脳の恐怖反応を鈍らせ、体が動かなくなったり、逃げ出そうとしたりするのを防ぎます。心臓細胞の再生や、微小損傷の修復にも役立ちます。
そして、どのストレス反応の後にも、ストレスからの回復プロセスが起こります。強度のストレス反応が起こったあとには、脳は数時間かけて神経細胞間の結合を「再配線」し、ストレスの経験を記憶し、そこから学ぼうとします。「ストレス免疫」ができ、将来のストレスに対処できるようになるのです。

これらのストレス反応は、あなたが望むように変えられるというのです。たとえ状況は変えられなくても、自分自身のストレスの受け止め方は変えられる。
体がストレスに反応しているのを感じたら「いま自分にもっとも必要なのは、ストレス反応のどの効果だろう?」と考え、「自分はどのように反応したいか」に意識を集中させると、それにしたがって、あなたの体の状態も切り替わるというではありませんか。

それにしても、仕事、育児、人間関係、介護、健康問題など、私たちの身の回りには、多くのストレス源ありますね。ストレスのない生活したいなどと思ってしまいますよね。
しかし、ストレスの少ない生活を送っている人たちは、意外にもあまり幸せを感じていないようです。「非常に退屈」だと答えた中高年の男性たちは、20年間に心臓発作で死亡するリスクが、2倍以上も高いそうです。また、「ストレスはできるだけ避ける」と答えた人たちは、10年間でうつ病になった確率が高いこともわかっています。ストレスを避けようとするほど、悪循環に陥ってしまいます。

エベレスト山登頂を目指す登山家は、「何でおれがこんなつらい目に?」などとは思いません。登山家は、自分が強いストレスにさらされている理由をよく承知しています。そして、それは自分で選んだ道なんです。
人生も同様です。日常のささいなできごとが、自分の大切な価値観と結びついていることに気づくと、それまでならばイライラしてしまったはずのできごとにも、自分なりに意味を見いだせるようになります。日常のストレスに意味を見出すことができます。そのためには、自分の価値観を書き出すとよいでしょう。
個人的な価値観について書くと、短期的な効果としては、自信が強まり、落ち着きが生まれ、誇りや強さを感じます。周りの人に対する愛情や思いやりが深まり、絆が強まります。痛みに対して我慢強くなり、自制心が強まり、ストレスの多い経験をしたあとも、あまりくよくよ悩まなくなります。長期的な効果としては、学校の成績が伸びたり、病院に行く回数が減ったり、メンタルヘルスが向上したりするほか、減量や、禁煙や、問題飲酒の減少など、さまざまな効果が見られます。また、差別を受けたりしてもへこたれずにがんばることができるようになります。

どうやら、ストレス反応は、ストレス源から私たちを守るためのもののようですね。ストレスは人を成長させ、健康で幸せにするもの。ストレスを受け入れることが大切だということです。
そして、本書のPart2では、豊富な研究事例とともに、ストレスを力に変えるための8つのエクササイズが紹介されています。

スタンフォードのストレスを力に変える教科書
ケリー・マクゴニガル著、神崎朗子訳、大和書房刊

 

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Thomas

品質マネジメントや工程管理、コンプライアンス、リスクマネジメントなどの仕事に携わり、仕組みを動かすのはひとだと痛感しました。ひとがイキイキすると、職場や社会もイキイキします。