【トーマスの読書室】ヒトが育つ会社の作り方

法政大学教授で、「日本でいちばん大切にしたい会社大賞」を主宰している坂本先生の著書です。国が進める働き方改革、健康経営を経営哲学に立ち返って捉えなおした一冊です。

日本の99.7%が中小企業であるにもも関わらず、多くのビジネススクールでは大企業向けの経営学しか教えていない。
企業の目的・使命は、「企業に関係するすべての人々の永遠の幸せの追及、実現」であり、企業は、そのときどきの環境に適応しながら、常に新しい価値を創造提案し続け、事業を通じて関係者の幸せを創造・提案し、社員を伸ばして会社を成長させるものである。そうすれば、メセナやフィランソロピーなどを考えずとも、日常的な業務を通じて社会貢献、地域貢献ができる。

「企業に関係するすべての人々」といっても、それには、順番がある。それは、
1.社員とその家族
2.社外社員とその家族
3.現在顧客と未来顧客
4.地域住民、とりわけ障がい者や高齢者など社会的弱者
5.出資者ならびに関係機関
である。
社外社員とは仕入先や協力企業のことである。これまでのようにこれらをコスト・原材料と見ていると、安ければ安いほどよい、コストという評価・位置づけになってしまう。そうではなく、幸せを追及・実現する対象、目的であると考える。
一方で、業績は目的ではなく、手段もしくは結果だと捉える。1から4の幸せが実現すれば、おのずと5への還元も達成できる。

右肩上がりの経済で作れば売れる時代は終わり、グローバル化により海外から安くてよいものが入ってくるようになってきた。市場にはものがあふれ、物欲が低下しており、消費行動はソフトやサービス財に移ってきている。したがって、顧客満足度の高いサービスや、顧客が喉から手が手が出るほど欲しい感動的商品の創造・提案が必要になってきている。このような商品を創造・提案するのは、ほかでもない社員だ。自分が所属する企業や上司に不平・不満、不信感を持った社員が、価値ある言動を日常的にするはずがない。
人間の幸せは、「人に褒められること」「人に必要とされること」「人に喜ばれること」「人に愛されること」などであり、これらは、働くことを通してでないと得難い。
これからの経営には、創造人財を育て評価する社風を作ることが必要である。

企業経営の三要素は「ヒト・モノ・カネ」と言われているが、モノとカネは貸借対照表上の資産の科目に計上されるのに、ヒトは貸借対照表上にまったく計上されず、人件費はコスト、人材と見られている。しかし、人を大切にする経営学では、人々が幸せに生きるための人件費は、目的そのものであり、コストではない。人的経営資源「人財」と価値評価する必要がある。
人財が豊富な企業の社員一人当たりの年間教育費は、おおむね10万円以上で、総労働時間に占める教育・訓練時間は、おおむね5%程度である。

としており、『第13章 人が育つ経営とは』 では、25の仕組み・仕掛けが述べられています。

人を大切にする経営学講義
坂本光司著、PHP研究所刊

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Thomas

品質マネジメントや工程管理などの仕事に携わり、仕組みを動かすのはひとだと痛感しました。ひとがイキイキすると、職場や社会もイキイキします。